蔵元だより
【酒米無くて酒が造れない時代が来る】
食米の高騰が問題になって長いですが、同じく酒米も食米の高騰の影響を受けて大きな問題を抱えた春になっています。今田植えされて、この秋に収穫される予定の酒米、酒造業界全体で全く足りない状況が予想されています。岩手県も同じで、食米の高騰により、栽培の苦労の多い酒米の栽培を減らして食米に移行する農家の方々が増えている事も影響されています。以前は価格も酒米のほうが高かったのですが、今は食米が逆転して酒米よりも高くなっている現状もあります。それでも酒米の代金も岩手では2年で約1.7倍近くに高騰しています。そんな大きな問題を抱える岩手県酒造組合の会長として、県酒造組合の新里副会長(浜千鳥)、金野副会長(酔仙)と事務局、そして日本酒造組合の副会長と理事のお二人にも同行していただき、自民党の鈴木俊一総務部会長(衆議院岩手2区)に酒米に関する緊急要望書をお渡しし、現状の酒米の抱える苦境をお伝えしてきました。政治の力が無ければこの問題は解決しません。各社の努力で何とかなる問題ではありません。各県の酒造組合の会長が様々な動きを今、しています。それほどの大変な状況ですが、何とかして安定的に酒米が全酒蔵で確保できるように私も全力で努力していきます。
私達日本酒は日本産の米で造るから「日本酒」なのです。安い米があるからと言って容易に海外の米を使う事は出来ません。そんな日本の伝統的酒造りは昨年末ユネスコの世界無形文化遺産に登録され、世界から注目され始めています。こんなところで立ち止まる事は出来ません。愛飲していただく皆さん、是非酒蔵を応援お願いします。