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南部美人のこだわり 「麹菌・麹」編

日本酒の始まりは「口噛み酒」

酒造りは、基本的に酵母のアルコール発酵によって糖をアルコールに変える性質を利用していますが、この糖は清酒の主原料である白米中に含まれる約80%の澱粉から生成します。しかし澱粉は水に溶解しにくい状態で白米中に含まれていて、このままでは酵母が澱粉を利用できません。

 

同じ醸造酒のワインの原料であるブドウは、その中 に糖分(果糖)をたくさん含んでいますし、ビールの原料の麦芽にも糖分(麦芽糖)を含んでおり、このまま酵母が発酵できる状態にあります。ところが日本酒 は原料の白米中にほとんど糖分を含んでいません。よって、意図的に何かを糖分に変えてやる必要があります。ここで麹の登場です。

 

皆さんも記憶にあると思いますが、ご飯を口の中でずっと噛んでいると甘く感じてきます。これは唾液中の酵素が、ご飯の中の澱粉を糖分に変えているからです。麹はまさにこの役割を果たしていて、澱粉分解酵素を生成します。日本酒の始まりは、この口で噛んだ米を使う「口噛み酒」とも言われています。

 

このようにして麹により糖化された糖を酵母がアルコールに変える。そしてこのまったく違う作業がひとつのもろみの中で同時に行われているのです。このことを並行複発酵といい、日本酒が世界の醸造酒の中で一番高い、18度近くのアルコールを生成できる理由でもあります。

 

並行複発酵

 

 

種麹の種類への南部美人のこだわり

さて、南部美人の麹の造り方ですが、麹になる米にとって最も大事なのは吸水歩合です。この吸水歩合をいかに正確にできるかがポイントになります。 南部美人では全ての麹米を限定吸水し、全てデータで管理しながら吸水歩合を調整しながら蒸米をつくります。

 

次に、約40度まで冷ました蒸米を麹室に引き込みます。ここで床いっぱいに広げ種麹を振り掛けます。種麹の種類にも南部美人はこだわっており、出来あがるお酒の種類や使う酵母によって、種麹を変えながら使っています。

 

 

大吟醸のような華やかな香りを出す酵母にはグルコアミラーゼを出しやすい「グルコ菌」や 「HI-G」といった種麹、すっきりとした辛口のお酒にしたい場合は「ヒカミ」などのバランスのとれた種麹、そして生酒など、生ヒネを抑えたい時には、生 ヒネの原因となる酵素「イソバレルアルデヒド」の生成を抑制した特別な種麹「IV-2」など、様々な種麹を使用しています。 さらに、2012年からは、岩手県が独自に開発した種麹「黎明平泉」を使用し、全て岩手県の原材料を使用した「オール岩手」のお酒などで多く使います。

 

種麹を振り掛ける際、私たちは網よりも目の細かいシルクの袋を使い、純粋に菌糸だけをふりかけます。種麹の使用量は添麹で100kgに対し約30g、仲麹 で100kgに対し約20g、留麹で100kgに対し約10g使用します。

 

 

一「麹」、二「酒母」、三「造り」

種麹を振り掛けた後、約32度(大吟醸は約30度)になったら山のように盛り上げて、これ以上温度が下がらないようにします。そして夕方には、朝盛り上げた麹米を一度広げて揉みほぐし、もう一度盛り上げて次の朝まで待ちます。

 

種麹を振り掛けた後、約32度(大吟醸は約30度)になったら山のように盛り上げて、これ以上温度が下がらないようにします

 

次の日の朝、昨日盛り上げていた麹米は一粒一粒に小さな白い点が見え始めてきます。これは麹の菌糸で、これが見え始めてくると発熱し出すので、このまま大きく盛り上げていると、どんどん温度が上がってしまうので、いったん小分けにしてやります。このときに、 どのような入れ物に入れてやるかで、大箱法や麹蓋法というように呼ばれます。大箱法は約30kgづつ盛る大き目の箱で、麹蓋法は約1kgづつ盛る小さな箱 のことを言います。さらに、南部美人では10㎏盛りの中箱という箱も使い、3種類の蓋や箱で麹をつくります。

 

 

この箱が小さければ小さいほど数が増えますが、その分麹を乾燥させることができ、とてもいいことなのです。だから大吟醸などはこの麹蓋法でやる蔵がほとんどです。しかし数が多い分とても管理に神経を使い、寝る暇がなくなってくるのです。

 

約36度から37度で仲仕事と言って一度麹に手入れをしてやります。丁寧にかき混ぜて、温度の上昇を押さえてやります

 

さて、この後約36度から37度で仲仕事と言って一度麹に手入れをしてやります。丁寧にかき混ぜて、温度の上昇を押さえてやります。放っておくとそのまま温度が上がっていってしまい、米の外側だけに菌糸が伸びてしまうから、ゆっくりと温度を上げます。麹の菌糸は米の中に中に入り込んでいくようにします。

 

約39度になったらもう一度手を入れてやり、蓋いっぱいに大きく広げてやります

 

この後、約39度になったらもう一度手を入れてやり、蓋いっぱいに大きく広げてやります。このころになると麹自体の発熱が室温を上回ります。最後は43度くらいまで温度が上がり、そのまま10時間以上40度以上の温度を持続させます。 こうして麹が出来上がり、一度乾燥室に持っていき丸一日温度を下げ乾燥させてから使います。

 

乾燥室に持っていき丸一日温度を下げ乾燥させてから使います

 

長くなりましたが、昔から「一麹、二酒母、三、造り」と言われるように、日本酒醸造に麹は最も重要なものと考えられてきました。一般に穀類を原料とする醸造では、穀類中の澱粉を糖分に変える必要があり、東洋では、カビの生産する酵素を用いることを発見したのです。日本人はカビの中でも非常にこの作用の強い黄麹カビにその力を借りました。麹についてはこのページでは話しきれないことも沢山ありますので、ご質問がありましたら「お問い合わせ」よりメールください。