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南部美人のこだわり 「火入れ」編

酒の味と香りを壊さない火入れ

南部美人では火入れのやり方に非常にこだわっています。
とくに本火入れと言われる一回目の火入れの方法が他とは全く違う方法でやっております。

 

品質管理

 

通常ならば、しぼった生原酒の温度を70度から75度にしてタンクへ送り、満タンになったら、ホースを抜いて水をかけて冷却します。こうすることでお酒を腐らせる「火落ち菌」を殺菌することができます。この方法は教科書でもしっかりと教えられる方法ですが、この通常の火入れの方法は「お酒を常温貯蔵しても腐らせない」方法で、 冷蔵設備などが無かった昔の酒造りの火入れです。
この火入れ方法ですと「安全」に関しては万全ですが、「味と香」に関しては、はっきり言って0点です。安全と引き換えに味や香りを全てダメにしてしまう方法なのです。

 

考えてみてください。70度もあるお酒が10000Lのタンクに入って、満タンになるまでだいたい30分から40分、それを水をかけて冷却し、常温の15度くらいまで冷やすのに半日から一日かかります。燗酒を考えていただければわかりますが、アツアツの燗をしたお酒を一日かけて燗冷まして飲んでいるようなもので、お酒の味と香りはしぼったばかりの時と大きく変化し、色も着き、壊れてしまっています。
こういった火入れの方法では炭素濾過で出荷の際に調整しなければいけないお酒になりがちで、本来の「しぼった時のあの素晴らしい味わい」からはかけ離れてしまいます。

 

火入れの常識を覆す新しい方法

そこで南部美人では、この火入れの方法を再検討し、新しい方法で大吟醸以外(大吟醸は後ほど説明する瓶火入れ)のお酒、普通酒まで全てを新方式「プレートヒーター急冷却火入れ」で行っています。
この方法の考え方は生酒の温度を60度から65度まで熱し、それを急速に10度まで冷やすという考え方です。つまり、お酒が熱い状態を少しでも少なくしようというやり方で、1Lのお酒が65度に上がり、10度に下がるまでの時間は何と「1秒」です。通常の火入れと比べると比べ物にならないくらいの短時間でお酒を熱し、冷却することができます。

 

プレートヒーター

 

上の写真にもありますが、プレートヒーターとは通常お酒の温度を上げるための機械ですが、そのプレートを3連 装着した火入れの装置を使います。真ん中のプレートに火入れ前の冷たい生原酒が入ります。そして、それが左のプレートに行き、ここで熱水で65度まで急速 に温められます。そして、温められたお酒は再度真ん中のプレートにもどり、入ってくる火入れ前の生原酒(5度)の温度と熱交換され、35度くらいまで一気に冷めます。

 

それを右の1度の冷水が回っているプレートを通して一気に10度まで温度を下げます。こういった原理で65度まで一気に熱したお酒を10度まで一気に冷まします。こうすることで、お酒のフレッシュ、フルーティーな味わいは生酒と変わらないレベルで残し、生酒特有の甘く味がだれる「生ヒネ」も酵素を止めることでストップさせますので、非常にレベルの高い状態で貯蔵が可能になります。

 

ただし、この火入れ方法はお酒を腐らせる「火落ち菌」を完全に殺すことはできません。それはなぜかというと、タンクの殺菌ができないからです。通常の火入れでしたら、熱いお酒でタンクを満タンにしますので、熱いお酒でタンク内の火落ち菌を殺菌することができ ますが、この新方式ですと10度の冷たいお酒がタンクに行きますので、タンク内の火落ち菌の殺菌ができません。ですから、絶対条件として、火落ち菌が生息しても活動を全くできない10度以下の温度で貯蔵することがあります。つまり、冷蔵貯蔵することが絶対条件となります。

 

瓶詰め

 

さらに、10度以下で貯蔵していても、瓶詰めの際にはもう一度火入れが必要です。そのまま詰めると火落ちする可能性がありますので、瓶に詰めた商品でも生酒と同じ要冷蔵の流通をしなければいけません。
このようにいくつかの条件はあるものの、今現在考えられる最高の本火入れの方法と思っております。全国の蔵でも採用するところが増えてきておりますので、本当にこれからが楽しみです。

 

実際に、この火入れを採用し、1番最初に出てきた火入れしたお酒は機械が故障していて火入れされていないのではないか?と疑うほど生酒のクオリティーとそん色がありませんでした。それほど、火入れの常識を覆す新しい方法と言えます。

 

特別な酒には特別な火入れを

さらに南部美人では大吟醸、純米大吟醸と1部の純米吟醸は瓶貯蔵をしております。量も少なく、タンクで貯蔵すると劣化する可能性があることと、2回火入れではなく、1回火入れで、より香りや味の劣化を防ぎたい場合に「ビン燗火入れ」を採用しています。この火入れ方法は全国鑑評会に出す大吟醸をはじめ、全国の蔵元で大吟醸などの高級酒の火入れ方法としてスタンダードです。
南部美人でもプレートヒーター急冷却火入れが主なのですが、1回火入れのお酒にしたいものや、量の少ないものはビン燗火入れを採用しています。

 

火入れ

 

このビン燗火入れはどのようにやるかと言いますと、一升瓶や720ml瓶に生のお酒を詰めて湯煎で温度を60度から65度まで上げて、別の水が入った浴槽に入れて急冷却する方法です。この方法だと60度から65度に温度が上がるのに、一升瓶なら約20分から25分かかり、10度以下に温度を急冷却するのは15分から20分ほどの時間がかかります。
プレートヒーター急冷却装置の火入れよりは遅いのですが、1回火入れというメリットは捨てられませんので、大吟醸や純米大吟醸など、2回火入れしたくない、香りを特に重要視するものはこの火入れをします。こうしてビン燗火入れされたお酒は0度の冷蔵庫にすぐに移動し、貯蔵をされて、出荷の直前に冷蔵庫から出し、ラベルを張って出されます。

 

火入れのタイミングが重要

ここまで火入れの「手法」について書いてきましたが、実は手法も大事なのですが、それ以上に大事なのが「火入れのタイミング」です。
昔は冬の間酒を造り、それを全部まとめて、杜氏集団が帰る春に一気に火入れをして貯蔵に移しておりました。つまり生酒をためるだけためて、酒造りが終わったら、それを一気に火入れするというやり方です。 このやり方ですと、杜氏集団が酒造りを終えてから仕事ができるので、仕事の効率が上がります。しかし、この火入れのタイミングでは、現代のお酒では遅すぎ、お酒が生ヒネしたり、甘くダレたりしてしまいます。現代のお酒はしぼった直後になるべく早く火入れをしなければいけない、よりデリケートなお酒となっており、火入れは「なるべく早め」が基本なのです。

 

これは大吟醸ではもちろんなのですが、純米酒や本醸造においても、火入れのタイミングを早くすることで、味わいの良さを固めてしまえるというメリットがあります。それでは具体的にどのようなタイミングで火入れをするかと言うと、南部美人では以下のようになっています。

 

大吟醸・純米大吟醸 しぼってから3日から7日以内
純米吟醸・吟醸 しぼってから7日から14日以内
特別純米 しぼってから10日から20日以内
本醸造 しぼってから12日から20日以内
普通酒 しぼってから一か月以内

 

このような火入れのタイミングを自らに課して、火入れまで製造工程、と位置付け、リアルタイムな火入れを心がけています。以上火入れについてのお話しでした。