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クラフトジンとクラフトウォッカに挑戦します!!

*記者会見の様子はこちら 

新型コロナウィルスが蔓延し、弊社では今年4月に厚生労働省と国税庁の緩和措置とご指導のもと、消毒用アルコールに取り組ませていただきました。当初は、混乱も落ち着き、消毒用アルコールが市場に戻ってくる秋頃までの「リリーフ」のつもりで取り組んできました。しかし、岩手県内の医療的ケア児の皆さんやそのご家族とお会いして、コロナはいつ終息するかわからないし、第二波、第三波の可能性もあり、また一番困っている人に消毒用アルコールが行きわたらないという状況だけは避けたいと考えました。その時のために、南部美人では消毒用アルコールを会社が続く限り、未来永劫取り組み続け、岩手県で今後消毒アルコールが無くて泣く人を出さないためにやり続ける決意をしました。

そんな中で、この消毒用アルコールと同じ製造の仕組みや免許の中で、スピリッツ類の製造が可能なことから、今回、スピリッツ類であるクラフトジンとクラフトウォッカの製造をスタートすることに致しました。製造設備に関しては農林水産省の「コメ・コメ加工品輸出拡大緊急対策整備事業」の補助金を利用させていただく事になりました。

新型コロナウィルスによる会食・旅行自粛などの影響から、飲食店さん、酒販店さん、お土産需要など、日本酒の業界は大きな需要減少に直面しています。弊社でも今年は15%近い売り上げのダウンになります。

ここで一番問題になるのは、今年収穫された酒米です。

日本酒の需要減により、今年稲刈りした酒米の一部が日本酒になれずに行き場を無くしてしまいます。全国では一部の酒蔵さんが「酒米を食べて消費してください」とお願いをして食米として販売していますが、それは本当に素晴らしい取り組みです。しかし酒米は酒になって本望でしょうし、食米も余っている市場の中、酒になれない酒米が全て食米になるのはなかなか難しいのも現実です。酒米は通常、栽培する約半年ほど前に次の年の酒米の栽培数量を申し込みます。今年収穫した酒米は新型コロナが蔓延する前の2019年末に契約した酒米です。弊社では農家との契約栽培も多く、契約して栽培していただく限り、約束した数量は必ず引き取らなければいけませんし、それが当たり前です。こちらの都合でここまで一緒に酒米栽培に取り組んできた、最高の酒米を栽培していただく農家の皆さんに迷惑をかけられません。今回の取り組みは、この「余ってしまう酒米」を余ってしまう可能性のある日本酒にするのではなく、新たな酒類であるジン、ウォッカのベーススピリッツの原料にしていきます。そうすることで、酒米は日本酒ではありませんが、お酒になることが出来ます。

ここで、南部美人が製造していくクラフトジンとクラフトウォッカについてその計画をお話しします。まず、クラフトジンですが、ライススピリッツをベースアルコールとして、岩手県が誇る日本一の生産量で日本遺産にも認定された二戸市の「浄法寺漆」をボタニカルに使います。ボタニカルとはジンの香の成分であり、ヒノキ科の木の実で松のようなウッディな香りが特徴のジュニパーベリーはルールなので必須で使わなければいけませんが、それ以外の素材は自由で、多種多様なハーブやスパイス、フルーツなどが使用されます。種類は2,3種類の事もありますし、多いところでは10種類を超えるボタニカルを使います。まだどこも漆をボタニカルに使ったジンの製造は確認できていませんので、岩手の誇る、二戸の最高の宝物の「浄法寺漆」の新たな可能性にもなります。新たな二戸型テロワールの実現として浄法寺漆はこれから器として酒を楽しむところから、一歩進んで原材料として酒になっていく夢が叶います。

続いてクラフトウォッカですが、こちらもライススピリッツをベースアルコールにしていく予定です。ウォッカはルールで「白樺の活性炭を使用してろ過する」があります。岩手県は炭の生産量が日本一で、その中でも二戸市のお隣久慈市は特に炭の生産が盛んな土地であり、平庭高原は日本一の白樺美林と言われていて、その岩手県産の素晴らしい白樺を利用します。白樺林をこの先の未来にしっかりと残していくSDGsの取り組みにも寄与できる、岩手の森を守るウォッカとして挑戦していきます。

クラフトジンに使われる漆、クラフトウォッカに使われる炭、両方とも岩手の誇る岩手県北を主産地とする日本一の伝統産業です。そこに岩手県の南部杜氏は日本一の杜氏数を抱える日本一の杜氏集団です。3つの日本一がコラボレーションして商品になり、その商品は岩手県北振興にも必ず繋がると確信しています。

海外では日本のジンやウォッカはジャパニーズクラフトとして大変高い評価を得ています。近年ではウィスキーが世界で高い評価を受けている事も大きく影響しています。南部美人のクラフトジンとクラフトウォッカにも大きな期待をされています。私たちは世界で通用する、岩手でしか造ることの出来ない新たな酒、日本一の漆と炭を使うクラフトジンとクラフトウォッカで、日本酒「南部美人」同様、世界の人々を魅了していきます。収益のチャネルを同じ「酒」というジャンルで多角化することで増やしていき、コロナ時代の蔵元の新しい経営戦略として確立を目指します。そして新型コロナウィルスで疲弊した日本酒業界の抱える問題解決の一助になれば幸いです。南部美人はコロナを機に多角化していくことで、地元と一緒に繁栄して行きます。

私たちの挑戦はこれからスタートします。新型コロナウィルスと共存していく新世界へ向かって。

岩手の誇りになるために。岩手の新たな光になるために。

岩手県北振興の大きな可能性と夢になるために。

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